溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


それだけ言うと、外務大臣はまるで何かから逃げるようにその場から立ち去っていく。

なんなんだ、あれ?

決して国分議員の専属SPになりたいわけじゃないけど、私の家柄を馬鹿にされたようで腹が立つ。

しかも国会中に寝てるの知ってて怒らないの?

親があんなだから、子がバカになったんだ。あんなのが元総理で現外務大臣だなんて、日本の未来は暗いわ。


「国分議員、もう帰りましょう。御実家に戻る準備をされた方が良いのでは?」

「そうだな……なんか知らないけど、めっちゃキレてたし。けど、一ノ瀬ちゃんは担当SPを続けてくれるよね?」


捨てられた仔馬……じゃないや、子犬のような目で見られるけど、そこは私の権限じゃない。


「誰の警護につくかは、上が決めることですから、御実家に帰られたら多少態勢が変わるかも知れな……」


そう話していたときだった。

ふっと、会場中の灯りが、なんの前触れもなく突然消えた。


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