明日も、生きる
【遠藤 哲】


朝、めぐが休むって連絡あった

マネージャーと連絡先の交換している俺に
仕事だなんて嘘は、バレバレ


それでも、篤が息抜きだろうって休ませた


昨日のことを、気にしてやってるんだろうけど、だからこそ

今日、来るべきだと俺は思っていた

昼前の3限目

俺は、自分のクラスで空いている
めぐの席を見ながら

明日は、迎えに行ってでも連れてこよう

心の中で呟いた


ガラッ


息を切らして、入って来たのは

弟の剛

「哲!!コレ!!」

「長谷川!?教師を呼び捨てか?」

「いいから!見ろって!!」

剛の携帯の画面には、大事故のニュース
その写真に、ほんと小さかったけど
めぐのバイクが写ってた

俺は、剛から携帯を取り上げて
もう一度、写真を見る

間違いなく、めぐのバイク


「電話は?」「出ない!!どうしよう…」


俺も携帯から、めぐにかけるが出ない

事故現場の住所を管轄する警察を調べ
電話する


「橘学園の遠藤と申します
○×交差点の事故で、うちの生徒が巻き込まれた可能性があります
森永 萌來です、はい
お願いします!」

保留のメロディーが鳴ってる間に
横から、電話を盗み聞きしようとする
剛に言った

「長谷川!
自分の教室戻るか、大人しく座っとけ!」


空いてるめぐの席を指した

生徒が俺に注目する


「皆、すまない!
ちょっと時間とるな!」


皆が、黙って頷く
心配してくれているんだな…


「はい!
あっはい!えっと、長い黒髪です!
へ?あぁ…はははっそうです!
はい、はい、ええ、はい、わかりました
お願いします!」

再び、保留音



めぐが無事だと聞いてホッとした俺は、教卓に手を掛けしゃがんだ


はぁっと一息ついてから、立ち

皆に向けて 大丈夫 と口ぱくしながら
手で丸を書いた


「はい
では、電話に出るように言って下さい
はい、どうもありがとうございます!」


電話を切った


「哲……あの、めぐは?」

「ちょっと、黙ってろ!」




シーーーーーーン




普段、爽やか演じてるけど

今日は、ムリ


めぐに電話をかけた


「もしもし」

「てめぇ!!学校サボって何やってんだ!
今すぐ、こい!!
制服じゃなくていいから、こい!
うるせぇ!!俺がこいっつってんの!!
昼休みが終わるまでにこい!!
お前が来るまで、全員教室に待たせるからな!」

言いたいことだけ言って切った






「哲?」


剛にもここまでキレたことねぇな……


「長谷川、森永は無事で聞いたとおり
今から来る
30分もかからないだろうけど
お前は、自分の教室に戻れ
その前に、三浦先生に説明して応援頼む」


「……わかった」


何か言いたげだったけど

剛は、教室を出た





たぶん……






俺は、めぐを傷つける





それでも、言わなきゃいけない









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