明日も、生きる
高校生に使う言葉かは、謎だが

今、子供返りしているんだと思う

栗原夫妻がいても、マイペースな剛は

「散歩行こう!!」

とめぐに駄々をこねる


そもそも、動いていいのかよ!?



「もうすぐリハビリの時間です」

奥さんが言うと、「俺も!!」


とにかく、めぐと離れたくない剛は
奥さんにまで、「いいでしょ?俺も!!」

子供が欲しかった夫妻は、剛も可愛いらしく、「そうね!一緒に行きましょう!」

甘々だった


リハビリは、剛と遊びながら、やっていた
術後、初めてめぐがちゃんと笑ったと

夫妻は、喜んだ

陽「何だか、子育てを1からやっているようですね!?
めぐは、橘家と一緒に育ったので
大変でしょうが、諦めずによろしくお願いします!」

栗「正直、悩んでいました
橘さんにもっと早くに、来てもらって
色々教えていただいていれば良かったです!
子育てかぁ!
そう思うと楽しめますね!」

リハビリが終わり、剛と手を繋いで歩くめぐの背中を見て

こいつら、まともにまっすぐ帰ったことねぇよな……と、昔を懐かしむ


「あぁ!」


めぐが指さす、剛と2人外の方に歩く


栗原夫妻が戸惑っていた

「あいつらまた寄り道かよ…
栗原さん、剛といるとめぐなかなか返して貰えませんから…」

2人は、苦笑いして、めぐの後を追う


庭に出て、しばらく遊んでいた


「そろそろ点滴なんですけど、どうしたらいいですか?」

奥さんが篤に聞いていた

篤「帰ろうって、こっから呼んで下さい」

奥さんが呼ぶと、2人で手を繋いで

てくてく歩いてきた

そして、剛と2人で奥さんに抱きついた

剛まで、子供返りかよ!!!


点滴が始まると、めぐは下唇を尖らせ
眉間に皺を寄せた


「ご機嫌斜めだな」

篤と俺が笑ってめぐを見ていた

剛は、靴脱いでまた、ベッドに上がった

「めぐちゃん痛い?」

ちゃんづけ???

コクッ

「ヨシヨシ」剛がめぐの頭を撫でる

「めぐちゃん!もう、痛くないよ?」

コクッ

「ごうちゃんも寝んね?」

「うん!めぐちゃんと一緒!」


ゴロンと体のデカい剛は、転がった


「ずりぃ……」


剛だけ、名前呼ばれて


「お父さん!むぅ!!」

篤「あぁ、おやすみのちゅうをおでこに」


栗原さんは、照れながらもやってくれた


「お母さん!むぅ!!」

奥さんも同じようにした



どうやら、むぅって、ちゅうなんだと
理解して、妙に感心した


「ごうちゃんも!!」


はぁ?それは、やめて!!と思ったが


篤「すみません…剛にも、お願いします」

剛がめぐに、ではなく

栗原夫妻が剛に、だった

本当、すみません

バカな弟で……



本当、剛とめぐは、双子みてぇだ





この日だけで、めぐは
食べて、笑って
喋って、怒って、甘えて

表情を取り戻した



夕食もどうにか食べた



困ったのは、帰りだ



「やぁーーー!!!!!」



先に帰った親父と篤は、いいとして

栗原夫妻と剛が帰るのを嫌がった

「めぐ!!」

暴れるめぐを抱きしめた


背中をトントンしてやると


いつも泣き疲れて眠るんだ


これは、俺の役目だった

泣き虫同士、慰めるのが上手いんだ





帰りたくねぇなぁ








めぐを横にして、涙を拭く




「哲くん、そばにいる?」

「え?」


付き添いしていいらしく、頷く

剛が、食べ物を調達してくれた


栗原夫妻と剛は、家に帰った



どんな夢を見てるんだろう




めぐの寝顔を見ながら




めぐの手を握った
< 63 / 76 >

この作品をシェア

pagetop