憑依依存。
『……愛しているよ、薺。


君は誰にもあげない。


君を何処にも行かせない。』




他の男に触れようものなら、その神経を支配して、相手の心臓を狙い撃つ。


寂しいと嘆く夜があれば、その両腕に自分を乗せて、めい一杯抱き締める。


今まで彼女の"想像"でしか果たせなかった事を、今度は、自分が。






『……僕も大概……滑稽だね。

身体を持っているフォンが憎くて堪らなかった。

君に心の中で語りかける事しか出来ない自分が……


……憎くて堪らなかったよ』




ーーー彼女が朝、起きて。



自分自身の手の甲に、キスをする時



……どれだけ胸が、軋んだだろうか。




『これがどんなに、歪なカタチだったとしても……



最初から歪だった僕達だから





きっと……』






少年が、少女の身体を抱き締める。




その瞬間、突如として風が吹き荒れーーー







……彼等は、姿を消した。
< 24 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop