あなたとキスをするまで





はじまりは高校入学初日だ。

なんとワタシは運がいいことに教室の一番後ろのすみに席を頂いていた。


のほほんと席に座るワタシの所へその方は現れた。同じクラスになったらしい男子にワタシはいきなり、座っていた椅子を思いっきり蹴られた。


もちろん凄い音を立ててワタシはぶっ飛んで床へ転げ落ちた。


「イスを立てろ、俺が座る」


一言、その方はそう言った。


なんだこれ、なんだよ、これ。どういう状況か全く理解出来ないままワタシは言われるがまま転がったイスを立てた。


ワタシの席が無くなった。


周りにいたクラスの傍観者たちの視線など気にせず、ワタシの席だったはずの机にその方は頭を伏せると寝だした。


騒ぎに気付いた美夜さんはワタシへ駆け寄ると心配そうに声をかけてくれた。


ワタシが常識人だったのはその時までだった。



「イチコ大丈っ…」

「美夜さん!!!イケメン見つけた!!」


「はああぁああ??」



興奮するワタシは直ぐさまワタシの席だったはずの席の隣にいる人に席をかわってもらい隣で寝るその方を観察した。


サラサラの黒髪に制服の袖口からチラッと見える肌は色白で髪の毛の間から微かに見える耳にはシルバーのピアスが光っている。


見た感じ身長は180センチ以上。


ビンゴだ!と思った。


そんな感じで衝撃の出会いをワタシはむくろ君としたのだ。




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