あなたとキスをするまで






なんかもう悲しいくらいにクラスの団結力は出来上がっている。



「…ちょっと待って!!!!!!」

「イチコー、もう昼休みよ」


ぬあぁあああああああああっ!!!


「ワタシずっと気を失ってたの!?」


なんで誰も起こさないわけ!?なんで誰も心配しないわけ!?なんで誰も保健室連れていかないわけ!?


こういう団結力いらないよ……。



「机、大洪水になってるわよ。イチコのヨダレで」






ワタシは無言でヨダレ用の雑巾で机を拭きだした。


良いもん…良いもん…クラスのみんながワタシに冷たいとか気にしないもん…むくろ君さえ居れば良いもん…それに夢の中だと幸せだったもん…ヨダレじゅるじゅるだったもん……っく。



「……イチコなんで泣いてるのよ、」


「っく、な、なな泣いてないしっ…うっ、泣いてなんっか…うぅうううっ」


ぽろぽろと落ちる水滴で拭いたはずの机が濡れていく。雑巾はびしょびしょだ。


視界がぼやけて全く見えないけど目の前にいる美夜さんは明らかにワタシに引いてる。





「あんた泣いてない時より、鼻水ビジョビジョの顔のほうが可愛いわね」


「どういう意味だよ!お願いだから真顔でそういうこと言わないで!」


なに!?普段の顔のほうが酷いとでもいうの!?そりゃ、美夜さんにみたいに美人ではないけどさ、名前相応のイチコって感じの顔かも知れないけどさ…あ、そうだ生まれ変わった時は名前に美しいって字入れてもらおう。うんそうしよう。



「…はあ、なんで泣いてんの」

「たいいいいいくううぅううう終わっちゃったあぁあああああああああ!!」



「竜ヶ峰のジャージ姿ね」



うん!!!そうだよおおおおおおおお!!!!さすが美夜さんわかってらっしゃるううぅうううううう。




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