未知の世界2

どのくらい経ったんだろう。









喉の奥から勢いよく咳が出て、目を覚ました。






喉が乾燥してるみたい。




リビングへ行って水を飲もうと、体を起こすと、







「ゲボッ!」








あれ?







「ゲボゲボゲボ、ゲホッ!」






ふぅ






おかしいな。






治ったはずなのに。







「ゲボゲボゲボゲボゲボゲボ、ハァハァハァ。







ゲホッゲホッゲホッ!」







どうしようどうしよう。






とりあえず、ベッドから下りようとする。






ドタッ






痛い。






体を強く床に落とした。






どうしたらいいのかわからず、焦れば焦るほど咳が止まらない。






「ハァハァハァ、ハァハァハァ。」






うまく、吸えない。









数日前に病院で、小児喘息は治ったって。







私、もしかしたら、このまま大人になっても喘息が続くのかな。







そんなことを考えてしまったからか、それか呼吸が苦しいからなのか、涙が止まらない。







この先も喘息と付き合う恐怖でいっぱい。







真っ暗の部屋の中、一人でもがき苦しんでいた。






ぱちっ  





という音と共に、部屋が明るくなると、そこに佐藤先生が立っていた。






「大丈夫か?」  






といい、咳込む私に吸入器を当て、ゆっくり呼吸をするよう指示した。





それでもほぼパニック状態の私は、先生の声を聞くことができず、体をくの字に曲げたまま息を荒くしていた。






先生は私の背中をさする。



私の呼吸に合わせて吸入器を試みるけど、うまく吸えない。







どのくらい経ったのか、






もう体は疲れて限界に近づいたころ、






部屋に、救急隊の人が何人も入り込んできた。





既に先生に聴診や脈を計られていて、その結果を先生から救急隊に告げられると、私はすぐにストレッチャーに乗せられた。





先生は側で私に気を失わないように指示していた。





頭は熱くて重い。





目を開けるのがやっとだった。






先生に何度も頬を叩かれ、何とか意識を保った。





病院に着くと、見慣れた顔の先生や看護師さんがいた。



そのまま救急センターに入って、佐藤先生に点滴を打たれ、酸素マスクをつけられた。





何とか意識を保ったまま病院に来ることができた。   
  




私の体はすごく疲れ切っていた。







退院から数日でまた病院へ来るなんて、恥ずかしい。






その日は、そのまま病院で泊まることになった。






体は疲れてるいるけど、発作が怖くて寝られなかった。






ボーっとした頭のまま起きていた。



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