未知の世界2
「かなちゃん、いよいよ退院だね。
今まで通り、外でもおとなしくしてないとダメだよ~。
あっ、でも大丈夫か。
佐藤先生が監視してるからね~。」
と、ニヤニヤした顔で話す近藤さん。
そう、近藤さんも、早川先生も同室の子達も、皆知ってる。
私が佐藤先生とこれから暮らすことについて。
というよりも、私だけが、自分の生い立ちを知らなかったみたい。
退院後の佐藤先生との生活は、もう私が入院し始めて数日後には、決まっていて、私の周りの人も知っていたみたい。
花火で思い出したけど、
翔くん。
私がICUにいる間に退院しちゃったみたい。
翔くんの気持ちは嬉しいけど、私はまだ、人を好きになったことがない。
この先、人を好きになることがあるのか、果たしてそれは、男性なのか、、、
もしかして女性っていうこともある。
うーん、そんなことあるのかな、、、
わからない。
人を好きになったことがないのだから、わからない。
翔くんが、あの時どんな気持ちだったのか。