未知の世界2
再会

記憶


あと数日で先生のご両親が来る。








私の大学受験もあと数ヶ月。






毎月行われる模試は、B判定。






毎日の補修に加え、土日には先生からのスパルタ指導が待っている。






体調は順調にいってる。。






だけど、














不安なのは先生のご両親に会うこと。





それだけが不安。







そんなことを考えていたある晩、







「かな、ちょっとこい。」







突然名前を呼ばれて目を見開いて先生をみる。






いつも「お前」だから、どうしたものかと先生のいるリビングに向かう。





「最近どうした?


 
  
  

調子悪いか?」






と言いながら、片手を私の額に当て、もう片方を私の頭の後ろに当てる。






言っていいのかな。






気を悪くしないかな。





そんな心の格闘をしていると、てきぱきと聴診を始める先生。





先生の手が私の服の下に手が伸びてたとき、





「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って。」






「ん?違うのか?








まぁいいや。最近、胸の音を聞いてないから。ついでに。」




もう!





心の中を聞かれてるみたいで






ドクドクドク、、、






「ちょっと、深呼吸っ






落ち着いて。」





なんて言われると余計に焦ってしまう。




「どうした?






まぁ、聴診は後でいいや。」





私の考えてることが分かるのかな?







ならこのまま聞かないで、心の中を読み取ってくれたらいいのに。




「話せよ。」  
   




やっぱり、わからないよね、、、







「実は、、、」  






私は、先生のご両親に会うことが不安なこと。






会って昔のことを思い出してしまうかもしれないこと。





を話した。






「昔のことを思い出したくないか?」








私はうなづきながら、







「だって、私の知らない辛い過去がありそうだから。






それに、逆に私のお父さんやお母さんのことを思い出したら辛いから。






今は記憶が全くないから悲しくなったり不安になったりすることがないのに、思い出したら自分が、どうなちゃっうのかわからなくて。」     






と下を向く。






すると顎を上げられ、





「だから、下向くな。





前向いて。」 





と言う。






「大丈夫かな、私、、、」







「大丈夫だ。何か思い出したら、俺がそばにいてやるから。」  






ドキッ

    



と胸が高鳴り、突然恥ずかしくなった。






い、、、ま。






すごく恥ずかしいことを言われた?





先生の顔を見ると、無表情。






心の中が読めない人。












「そういえば、親父達から日本に帰ってる間に一泊旅行に行かないかって言われてる。






お前もたまには息抜きでどこか行くぞ。」







旅行!?






「旅行なんて、初めてっ!!!」







嬉しいっ!






何持って行こうかな。どこに行くのかな?






「嬉しそうだな。






明日、俺休み出し、学校終わったら迎えに行ってやるよ。






そのまま旅行の買い物しないか?」







「行きたい行きたい!」






「じゃあ明日学校終わる頃に連絡して。」






と言われ、おやすみをいい部屋に戻った。







それから 旅行に行ける楽しみで、先生のご両親に会うことの不安はすっかり忘れていた。
< 31 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop