未知の世界2

いよいよ、、、明日は大学受験の日。



私はこの一週間、最後の追い込みをしていた。




学校では朝の補修を受け、放課後の補修はなくて、早く帰るように言われた。




家に帰って、晩御飯を作ってお風呂を洗って、洗濯物を畳んで、いつもなら勉強するところだけど、昨日、幸治さんと約束をした。



受験の日の前日は、絶対に早く寝ること。



一週間、追い込みをかけてきたから、前日に緊張のあまり、体調がすぐれなくなって、喘息が出てしまったらいけないからと。



ここ最近、喘息は全く出ていない。



病院での定期検診でも、数値は良好。



それも全て、幸治さんが私の体調管理を徹底しているから。



怖いほど、、、






それから、夜の8時を超えて10分ほどしたら、幸治さんが帰宅した。



いつもより少し遅いけど、こんな日もある。



私たちは食事をして、それぞれお風呂に入って、リビングのソファに座った。




「かな、いよいよ明日だな。」




と幸治さんに言われる。



「はい。



ものすごく、、、



怖い。」




と小さくつぶやくと、



「泣いても笑っても、明日は受験日。



今までこんなにやってきたんだ。



大丈夫だ。焦らず、落ち着いていけ。」



と幸治さんが言い、私に手を差し出した。



幸治さんの手には、オレンジ色で『合格祈願』と書かれたお守りがあった。




私は、それを手にとった。



そのお守りは、新しいものではないような気がした。



「かなが医学部目指すってい言った時から、近くの神社で買って俺が持っていたんだ。



渡せば、プレッシャーになるだろ?



ちゃんと時間のあるときは、神社に寄って、合格できるように頼んでおいたから。」



と少し照れながら話す幸治さん。



私は、嬉しくって、涙がポロポロと頬に伝った。



思わず、幸治さんに抱きついていた。



幸治さんは、優しく私の頭を撫でてくれた。



「明日は、すごく怖いけど、このお守りがあれば、絶対に頑張れる!



幸治さん、ありがとう。明日は絶対に頑張ります。」



と言うと、幸治さんは私の顔が前を向くように起こすと、



「あんまり泣くと、苦しくなるぞ。」



といつものように声をかけてくれた。



その日私は、そのお守りを手にして、眠りについた。




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