青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「――――ッ!」


 いつの間にか抜き放たれた大剣が、一瞬前までウルジャスがいた床石を叩き潰す。

 はねた石の破片が、鼻先を掠める。

 その危うさに肝を冷やすのは、まだ早く。

 次には、ぴたりと首筋に剣の切っ先が据えられていた。

 少女の腰周りほどの幅がある、斬るよりも打撃用の大刀。

 筋肉の欠片もない少女の身には余るような代物を、彼女は片手で軽々と扱ってみせた。
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