青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ――ジャスパ王の妃インシア・サリエ・アッバーサ。

 シェイスの知らない城市の女神――運命を司る女神アッバースの巫女。

 上の王子を産んだ女は王宮に仕える侍女で、妃の位には上がらなかった。

 だから、ジャスパ王の妃は神殿から嫁いだ彼女ひとりだけだ。

 実の息子を手に掛けようとした罪で塔に幽閉された女。

 彼女の『罪科』がそれだけではないことを、シェイスは知っている。

「訊きたいことが、山ほどあるひとでもあるわね」
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