青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 踵で綺麗に切り揃えられた芝生を蹴り、塔に向かって庭園を突っ切ろうとする。

 と、無防備な背に向かい、投げられた光があった。

「つッ―――!」

 金属と金属がぶつかり合う、硬質な音が生まれる。

「危ないわねッ!」

 振り返りざま剣を抜き払ったシェイスが、唇を歪める。

 下草の上に落ちた手のひらほどの刃は全て、黒いぬめりを帯びていた。

 ――おそらくは、毒。
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