青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 決して、いま対峙している男を侮っているわけではない。

 だが腐っても、生まれたときから剣を握るエンカランの長だ。

 なけなしの自負くらい、ある。

 『戦』で負けたりはしない。

 両手で剣を握り直して、柔らかさを脱ぎ捨てたラザーをつらつらと見遣る。

「あなたは、何者です?」

「ジャスパ王を知る者」

 答えながら、本当にそうなのだろうか、とシェイスは首を捻る。

 出会って、別れた。

 それだけの関わりのシェイスになんの資格があるのだろうか。
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