青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「なにを、知っているのです?」

 一言、言葉を交わすごとに、ラザーの声から穏やかさが剥ぎ取られ、ぞっとするほどの冷気が漂い出す。

 それを冷静に観察しながら、シェイスは一音一音、確かめるように言葉を紡いだ。

 指先が、剣の柄を撫でる。

 滑り止めに巻き付けた革の馴染みを、知らず探っている。

「だから、それだけ。

 それ以上はなにも知らないわ。

 知りたいことも訊きたいことも、別に取ってあるからご心配なく」
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