青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ひゅっと、分厚い大刀を一閃する。

「だから、邪魔しないで!」

「――断ります」

「じゃあ、自分で薙ぎ倒して行く!」

 体重を込めて大刀を奮う。

 ラザーが操るのはまともに競り合わずシェイスの剣を受け流す、冷静でそつのない剣技。

 数合、剣を合わせるうちに細かな苛立ちが募ってくる。

 ――この剣士と、己は相性が悪い。

「腹立たしいったら……」

 汗ばんだ身体とは裏腹に乾いた唇を舌先で舐めて、シェイスが低く唸る。
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