青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「あたしが、この剣であんたの首を刎ねたらどうするの?

 ほら、取り乱したって好いんだよ?」

 むしろ、それを期待してシェイスは揶揄する。

 だが、彼女は微かに、首を振っただけ。

「女神の巫女は、容易く心を揺らしたりはしない」

「……ふうん。そんな感じね」

 感情に欠いた細い声にシェイスは頷く。

 仕草に皮肉が潜むのを、自分でも抑え切れない。

 こんなすべらかな冷たさは苦手だった。
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