青蒼の夜半に、闇色の鳥を

・3・

 鍵を開けるのももどかしげ。

 豪奢な牢獄に飛び込んできたのは息を切らした金髪の青年。

 白い額には汗が浮かび、見開いた眸には焦燥が宿る。

「騒々しい」

 窓辺に立ち、呟いたインシアに、あからさまに青年が安堵の様子。

 普段の優美さをかなぐり捨て、大股で歩み寄る。

 ためらいもなく、インシアの肢体を抱き締めた。

 きつい腕の力。

 纏う空気まで奪い取るように髪に埋められた頬。

 余りの強さに、インシアの背がしなる。
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