青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「衛兵が殴り倒され、外鍵が開いていました。

 あなたが、私よりも先に消えてなくなったらどうしようかと思った」

 淡々と、さきほどの激情は嘘のように静かにラザーが囁く。

 だが、磁器のごとき表層の底に熱はまだ潜んでちらちらと透かし見えた。

「そんなことはありえない。

 ……そうだろう?」

 滑らかな冷ややかさでインシアが突き放す。

「そうですね。

 ……そう、約束しました。

 あなたが私に与えてくれたものの、代償に」

 深い青蒼の眸を細めて、ラザーが微笑む。
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