青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「先王ジャスパは三日前……死のその夜に、あなたの許を訪れたはずです。

 そのとき、あの男はあなたになにを語ったのですか?

 なにを……求めたのですか?

 そして、あなたはなにを返したのですか?」

 重ねられる問いに、ひとつ、インシアが瞬きをする。

 身体の内側に取り込んだ言の葉を咀嚼して、血肉に変えるまでのほんの少しの間。

 インシアは絹糸のような声で答えを紡いだ。

 実に、たわいもなく。

「……王は、深く深く、もう二度と目覚めぬほど深く眠りたいとおっしゃった」

「だから、あなたは願いを叶えた」

「そう。それだけ。

 でもお前は、どうする?」

 淡々と、インシアが問う。

 骨が透けて見えそうに華奢な両腕を組んでみせる。
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