青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「なにを云っても無駄だから、あの子は出てっちゃったのよ。

 あんまり苛めちゃ駄目でしょ、お嬢。

 あの子は、あんたが大好きなんだから」

「あたしが、女だからね」

「なに当たり前のこと云ってるの」

 なんでもお見通しの肝の太さを透かして、サディマはシェイスをぐりぐり撫でる。

 微かに皺の寄った目尻。

 太い指。

 シェイスの二倍生きていて、シェイスと同じ子を持たぬ女。
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