青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「ねえ、あたしはあたしの手で、あたしの一族を救いたい」

 眸は開いていても、視界に映る全ては意味を失う。

 サディマの寄せた眉が、頭の片隅に残って消える。

「でも、あたしの一族は、あたしに救われることなんて希んじゃいないのね」

 それどころか。

 シェイスを長の座から引き摺り落とそうと、隙を窺う長老達でひしめき合っている。

 一族に豊かな実りをもたらしたいのか。

 それともただ己の逆風に負けたくないのか。

 自分の心の行方もわからないまま、シェイスは足掻いている。

 足掻きながら、進もうとしている。
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