青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「子を持たないつもりなんてない。

 子を生むことだって一族のためだとわかっている。

 一族のためにできることなら、なんでもしたい。

 臆病だから、なにかを選んでなにかを捨てることなんてできないの。

 だけど一族の誰かを選んで、ただの女になんてなりたくない。

 誰とも契らず誰も夫にせず子を生む方法があるのなら、

 あたし、どこまでだって教えを請いに行ってしまうわ」

 サディマは、一族と共に歩むことを捨てて、一族を陰ながら支えることを希んだ。

 子を生むことを捨てて、情報を生み続けることを選んだ。

 潔い生き方だ。

 だが、シェイスには選べない。

 全てを抱え込んだまま、なにひとつ成し遂げられずにもがいている。
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