青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「あたしの名は、シェイス。遊牧の民エンカランの長シェイス・リン」


 ぼきん、と首の骨を折りかねない勢いで、彼女――シェイスは頭を垂れる。

 武器を晒し、膝を折る。
 
 それが恭順の証であると、遅まきながらウルジャスは気付いた。


「エリア・ファーレリアの王ウルジャス殿に請い願う。

 先王ジャスパの葬儀が終わるまでの三夜、我を先王が棺の傍らに置くことを」


 宣誓し、片手を力いっぱい床に着く。

 黒い髪の先が床に零れ落ちる。
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