青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「殺す」

 短い、一言。

 それしか、シェイスにはできない。
 
 派手な狼煙を上げなければ、シェイスは、王に哀悼の意さえ示せない。

 憎しみもある。

 悲しみも。

 それ以上に、すでに口にする言葉は義務にすらなっていた。

 触れたことのないひと。

 絆らしい絆は――交わせなかった主従の契り。
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