青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「冷静なのですね。

 もっとあなたは蛮族の長に相応しく、直情的な方だと思っていました」

「……一応、褒め言葉だと思っておくわ」

 引き攣った笑みを、シェイスは無理矢理浮かべる。

 ――ですが、それでは使えない。

「え?」

 ラザーの、唇だけで紡がれた言葉。

 シェイスから興味を失ったように、ラザーの視線が逸れていく。

 次の的になったのは、呆然と立ち竦む彼の弟。新しい若き王。

 いとおしげに、ラザーは微笑んだ。

「確かに私が、あなたを罪人と呼ぶのは間違いかも知れませんね。

 私は、もっと大きな罪を犯している」

 不穏な発言に剣を構え直したシェイスを、ラザーは一瞥もしない。

 シェイスはなんだか、背筋が寒くなった。
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