青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 磨ぎだされていないシェイスの刃でも、刃は刃。

 そんな代物を向けられていながら、ラザーの意識はここにはない。

 完全に切り離されたところからこの光景を眺めている。

 否――ウルジャスだけを、見詰めている。

 刃を交わす。

 命のやり取りをする。

 一番生々しい行為をしていても、ラザーの生気を肌近くに感じない。

 彼は、シェイスには、理解のできない生き物。

 シェイスの知らない理屈と動力で動いている。
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