青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「あなたはなにを知っている? 兄上」

 ウルジャスの声に、シェイスは懇願するような響きを拾った。

 彼も、気付いている。肌で破滅の気配を感じている。怯えている。

 ラザーひとり、吹っ切れたような清しい笑みを浮かべていた。

「王を殺したのが、誰であるか」

 清かな声は、聖堂の高い天井に響き渡る。

 意味が腹の底に落ちてくるまで、時間が必要だった。

「それは、誰だ」

 割り振られた役割を演じるような、ウルジャスの声。

 満足げに、ラザーが頷いた。
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