青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 王を殺したのが兄であってもいい。

 誰が王を殺そうと構わない。

 想像以上の動揺はあれど、王にも兄に情はないはずだった。

 だが、どこかで歯車が狂っている。

「兄上、嘘は嫌だ。

 頼むから、真実を、こんなときくらいは云ってくれ。

 それ以外の、なにもかもを嘘で塗り固めたって構わない。

 俺を、疎ましく思ったって好い。

 だけど、こんな嘘は嫌なんだ!」

 叫んだウルジャスに、ラザーはそっと、長剣を差し出す。

 先刻までラザーがシェイスに向けられていた剣。

 彼愛用の細身の、優美な剣。

 刃の部分を片手で支えて、なめし革の巻かれた柄を差し出す。
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