青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「嘘などではありません。

 私は、ずっと王を憎んでいた。

 殺したいとばかり思っていた。

 そんな私が、王に毒を仕込んでもおかしくはないでしょう」

「今更、ね。

 五年も前から決まっていたことを、今更、覆すためにね。

 恐るべき気の長さだわ」

 揶揄するように、横合いからシェイスが口を挟む。

「シェイス・リン……」

 きゅっと歪んだ唇。

 ウルジャスが抱く疑惑を通り込んで、彼女のなかには確信が生まれているらしい。

 彼女の褐色の肌を切り裂いて、その中身を暴いてやりたいとさえ思う。

 物言わぬ骸でも、冷たい石で形作られた女神でも好い。

 この息苦しい空間を救う真実を教えて欲しい。
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