青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ウルジャスにはもう、他の道を選ぶことができない。

 ラザーの眸は、己の死以外の選択肢を赦さない。

 それだけの強制力。

 そんなところだけラザーは、ウルジャスの兄のままだった。

 冷たく、ウルジャスの手に掛かる剣の重み。

 ラザーは軽々扱っているのに、ウルジャスには石のよう。

 だが、投げ出す前に、ひとつだけやらなければいけないことがある。

 不器用な腕でのろのろと重い剣を振り被って――振り下ろそうとする。

 その動作の狭間を、黒い影が滑り込んできた。
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