青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 制御しきれなかった力そのままに、シェイスの剣が床を叩き潰し砕ける。

 煌めく破片。

 長い、シェイスの漆黒の髪。

 鮮やかな色彩がウルジャスの目に焼きつく。

 過たずシェイスの剣が断ち切ったラザーの片腕が、緩い放射線を描いて飛んで行った。

 血の線を描きぶつかったのは女神の胸許。

 ずるずると不恰好な絵を引きながら、磨かれた床に転がる。

 糸が切れたように、片腕を失ったラザーが、床に崩れ落ちる。

 奇妙に引き伸ばされた――だが、一瞬の出来事だった。
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