青蒼の夜半に、闇色の鳥を
最終章 … そして、偽りの羽を
・1・
王の葬儀を終え一連の儀式に区切りが付き、
王宮が落ち着きを取り戻してしばらくの後。
黄色みを帯びたきつい日差しが庭園に落ちる頃、
王妃インシア・サリエ・アッバーサは、珍しい客人を部屋に迎えた。
「随分と、顔を見ていなかったような気がする」
「俺もです。
この五年、あなたのことなど考えもしなかった」
虚ろな、凍えた口調でインシアが云えば、同じほど冷たい声が応える。
「お久しぶりです、と云うべきでしょうか。
母上」
喪を表す漆黒の長衣を身に纏い、ウルジャスが皮肉に口許を歪める。
その表情が、ここ数ヶ月のウルジャスに最も馴染んだものだった。
王宮が落ち着きを取り戻してしばらくの後。
黄色みを帯びたきつい日差しが庭園に落ちる頃、
王妃インシア・サリエ・アッバーサは、珍しい客人を部屋に迎えた。
「随分と、顔を見ていなかったような気がする」
「俺もです。
この五年、あなたのことなど考えもしなかった」
虚ろな、凍えた口調でインシアが云えば、同じほど冷たい声が応える。
「お久しぶりです、と云うべきでしょうか。
母上」
喪を表す漆黒の長衣を身に纏い、ウルジャスが皮肉に口許を歪める。
その表情が、ここ数ヶ月のウルジャスに最も馴染んだものだった。