青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「そう。蛮族の小娘相手に賭けをしたのだと。

 過去の己を写し取ったような、哀れな小娘。

 その小娘に選ばれるのならば、己とて捨てたものではない。

 もし、そんな小娘の手さえ取れぬ己ならば、

 そんな拒絶まで飲む込むほど暗い眠りを与えて欲しい、と」

 握り込んだ拳のなかで、皮膚を爪が抉る。

 どう受け止めるべきなのかわからない。

 だが多分、それが真実。

 王はおそらく、戯れの賭けを云い訳に、永遠の眠りに逃げ込んだ。
< 239 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop