青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「母上」

「もう、早くお帰り」

 くるりと、細い背が向けられる。

「お前と、最期に賭けをするのも一興。

 それもまた神意か」

 熱のない、声。

「一度交わした約定ならば、俺は戯言で収めはしませんよ?」

 ウルジャスが慎重に言葉を選ぶ。

 母の死と、己の死。

 どちらかと問われれば、母の死を取る。

 その覚悟で持ちかけた賭けだ。

 生半可な気持ちで弄ばれるのは我慢ならない。
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