青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 小さく礼を口のなかで転がして、シェイスは虚ろな目で小瓶の硝子を透かす。

 白茶けた粉が半ば詰まった硝子瓶。

 シェイスが、密かにアガサに持ち出させたもの。

 手のひらに握り込んで、シェイスは重さを確かめる。

 立ち去ろうとするシェイスに、アガサが声を投げた。

「姫様! 兄さんは……アギはこのこと、知っているんですか?」

 答えはなし。
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