青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「……?」

 微かに淀んだ空気が揺れた気がして、ウルジャスは振り返った。

 背後には、ぴったりと閉ざされた石造りの扉。

 王の死を悼む殯の夜が三度巡るまで。

 ウルジャスはこの場所から一歩も出てはならない。

 その間、外からも立ち入るのは日に二度。

 日の出前と日没後最小限の食事を差し入れる従者のみ。

 ――まして、深夜のこの時間に誰が来ると云うのか。

 ウルジャスはひとり、笑ってみせる。

「こんな場所にいるのが、愉しいわけがないよな。

 気色悪い。はやく、終われば好いのに」

 冷えた膝をさすり呟いたところで、今度こそはっきりと、石がきしむ音を聴いた。
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