青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ぺたりと小汚い路地の壁に縋り付いて、肩で息をする。

 喉から漏れるのは、喘ぎ。それと、振り切ってきたアギへの謝罪。

「あと、二日だけだから……。

 そうしたら、一族のためだけ動く、長に戻るから……」

 自分を納得させるように、シェイスは砂埃の溜まった地面に呟きを落とす。

 汗が、ぱたぱたと黒い染みをつくる。

 それを眺めながら、シェイスは己に誓約を架した。
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