青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ――五年前。

 ウルジャスが口にするはずだった杯を取り、異母兄であるラザーは倒れ高熱にうなされた。

 一週間、熱に苦しめられた末にラザーの身体に刻み込まれたのは、醜い傷跡。

 そして、隻眼ゆえの王位継承権からの転落。

 ――ジャス。早く大きくなれ。私のジャス。

 そうウルジャスを呼び髪を撫でてくれた兄は消え、ひたすら王子に忠実な侍従が生まれた。
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