青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「ウルジャス様! 莫迦なことを」

 ウルジャスの腕を、ラザーが強く掴む。

 杯は『彼女』のところまで届かず、つまらない放射線を描いて巨大な棺にぶつかり転がった。

 薄茶色い水溜りが、みるみる蒼みを帯びた床に広がっていく。

「消えちまえば好いんだよ」

「禍言を軽々しく口にしてはいけません。

 女神は、きっと見ていらっしゃる」

「本当に、兄上をそんな女神の功徳を信じているのか?」

 上目遣いに睨んだウルジャスに、勿論、とにっこりとラザーが微笑む。

 完璧に綻びがなさ過ぎて、底が見えない笑み。
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