青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 子を殺めようとした廃王妃――堕ちたる巫女。

 その許に向かう廃王子――狂女に片目を潰された憐れな青年。

 そんな役回りをラザーと『彼女』に嵌め込む人間を嘲笑って、理解されないことに至極満足している。

 本当の自分に知るのは、『彼女』だけで好い。

 激情も憎悪も全て、『彼女』への捧げる。

 愛だけでは足りない。

 曖昧に小汚く混ざり合った感情を淀ませて、ラザーは『彼女』の許へ向かう。

 ――逢瀬を重ねる。
< 65 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop