青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 まず目に飛び込んできたのは漆黒の髪。



 長い髪は腰まで跳ねて垂れ下がり、侵入者の性別を告げる。

 骨張った手足、少年じみた柔らかさのない肢体。

 それは、ウルジャスが知る『女』という生き物とは、あからさまに違う。

 かぶった埃を猫のように振り払い、少女はぴったりとウルジャスに視線を合わせる。

 彼女は濡れて、艶を帯びた漆黒の眸をしていた。

 その強さに、焼け焦げそうな気すらした。
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