青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 ちらりと、ラザーを見遣った眸の軌跡だけが、空気に線を引くように微かに残る。

 凍えた名残を追うように、ラザーはひとつだけ残された眸を閉じる。

「知らないのでしょう、あなたは……」

 もう一度、ラザーは呟いた。
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