青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「羨ましいな」

 自分の声の苦さにうんざりする。

 いつまでも諦められない自分が情けない。

 もう、五年も経っている。

 もう、生まれてから一五年だ。

 こころを切り取り、切り離すには十分すぎるほど、長い歳月なのに。

「じゃあ、来る?

 あたしたち一族の者になってしまう?」

 冗談めいた軽さで、シェイスが云う。

 ぎょっと俯きかけた顔を上げたウルジャスに、シェイスは触れられない場所から手を差し伸べた。
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