青蒼の夜半に、闇色の鳥を
「お前は、死ぬなよ」

「なにそれ」

 ウルジャスの言葉に、シェイスが鼻を鳴らす。

 阿片に溺れた父王。

 同じ滅びの盤上で足掻く、エンカランの長姫。

 ウルジャスにとっては、直接父の心の臓を止めたのがなんであれ大差がない。

 その根にあるものは誰の目にも明らかだったのだから。

 遠く触れられない人間の苦しみなど、ただの戯画に過ぎない。

 父の苦悩に、胸打たれたことなどない。

 だが、シェイスは目の前にいる。

 手を伸ばせば、長い髪にも触れられる。
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