青蒼の夜半に、闇色の鳥を
 予想よりも細い、丸みのない肩は、ほんの少し力を加えただけで砕けてしまいそうだ。

 この身体で、大剣を自在に操るなど信じられない。

 一掴みで掴み取れてしまいそうな胴回りの小娘のくせに、シェイスは、ウルジャスが及びも付かぬほど強い。

 ――違う、とウルジャスは、己の傲慢に首を振る。

 彼女に、脆弱なウルジャスは守護など与えられない。

 真実は、真逆。

 ウルジャスが、彼女を、求めている。 

「俺に、仕えてみないか?」

「……素敵な、お誘いね」

 僅かに、シェイスの眸が翳る。

 それでも口許には笑み。

 崩れずに綻んだ唇に、苛立ちが募る。

「畜生、本気なんだからな」

 云って、ウルジャスは自分の言葉の情けなさに更にうんざりした。

 これでは、子供の駄々と変わらない。
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