私と遊び人と。
「病院かぁ…。」
私は、自分の家のお風呂の湯船に浸かって呟いた。
あの後、飛鳥や香純に(若干無理やり)家までお見送りされちゃったし。そんなに痛くない…ことはないけどさ。
……あー、どうしよう。右手、利き手じゃなくてよかったけど、怪我しちゃった…。
これから不便になるなぁ…。
…………まあなんとかなるか!!
『パンっ!』
私は怪我をしていない左手で頬を叩き、自分なりの喝を入れポジティブに行こう。
そう決心した。
「お風呂出たよー。」
私がそうリビングに顔を出したら、ちょうどご飯が出来ていた。
「あ、タイミングちょうど良かったわ!今ご飯できたの言いに行こうとしてたの!さ、早く食べましょ!」
お母さんはテキパキとお皿やらお箸やらを出して忙しくしていた。
お母さんはいつも仕事が忙しく、夜遅くに帰ってくる。
けれど私が手を怪我して、いつもどおり動かせないと電話すると、今日は仕事を切り上げて帰ってきてくれた。
いつも私が家事とかしてるからね。
けれどお父さんの姿はない。
お父さん、今日も遅く帰ってくるのか…。まあそうだろうと思ってたけど。
私のお父さんは最近帰りが遅い。お母さん曰く、すごく大事な仕事をしているらしい。…浮気じゃないかとちょっと疑ってるけどね。
「「「いただきまーす。」」」
「お母さん海老フライとってー!」
「はいはい。」
私には小学二年生の妹がいて、机の手の届かないご飯はお母さんに取ってもらっている。すごく可愛い。
「そういえばお母さん、明日の病院ついていってください。」
「うん、わかった。皆に頼んだら明日は休めるし、仕事も透が怪我してる間は早く帰らせてくれると思う!だから大丈夫だよ!安心して任せなさい!」
お母さんはニコッと笑った。
………うん、この笑顔を見てると、私はいつも安心出来る。
その後はご飯を食べ終わって、手の痛みを忘れたいからすぐに寝た。