蜉 蝣
『誰がブスよー!!!!』
『ブスはブスだろ〜そういうことは可愛くなってから言えよな〜(笑)』
栗色の髪に切れ長の目。
チビで華奢な体。
そしてよく喋る。
『薫のバーカ!!あんただってイケメンになってから言ってよねー!!!』
由香里はそう言い放つと、栗色の長い髪を靡かせながら
また森の方へと消えていった。
『あれー?由香里ちゃん花火見ないのかな?』
『あいつ…花火嫌いだからな……』
僕は智の問いかけに即答した。
暗闇に消えていく由香里の後ろ姿が
どこか淋しそうに思えた。
そして僕は後悔した。
“ブス”なんて…
智や翔が一緒だったからって
調子に乗っていつもよりもヒドいことを言ってしまったことを。
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