蜉 蝣



『この穴の中にはな、アリジゴクって虫が住んでんだよ。で、そのアリジゴクがこの穴に近寄ってきた蟻とか他の虫を穴に引きずり込んで、体液を吸い尽くすんだって。』

『へぇ〜』




さすが科学部の元部長。
虫の事には詳しい。




『ほら見てみろ。蟻が近寄ってきただろ?』

『うん。』

『しばらく様子見てろ』




僕と智は、頬を伝う汗を拭うことすらも忘れ

真剣にアリジゴクの巣を見つめた。






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