~君は死んで、僕は読書~
「そんなこと、言わないでくれ! なんで、そんな……っ!!」

つい悲痛な声をあげた僕に、彼女はうふふと笑った。

「なぁんだ。気付いてなかったんだね、君」

「え?」

その、死してなお桃色の唇が、言う。

「私は、呪い殺されちゃったんだよ。君って言う、地縛霊にね」

絶句を、もう一度味わうことになった。

それはたしかに、僕は彼女のそばで、ずっと、ずっと、ずっと、ずっとずっと本を読んでいたけれど……。

ずっと、それだけだったけど。

それは、

「僕が、……地縛霊だっから……?」

だから、彼女も死んだっていうのか?

そんな……

そして彼女は嘆く僕に向けて、今まで見せたことのないほど、華やかに笑んだ。

「これからは私も一緒だよ。ずーっとここに、二人でいようね」
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